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マニラE通信10号

 1月31日

 

異文化コミュニケーションを進めていきたい

 「 7 時からパーティなの、あまり時間がないけれど、いいかしら。」そういってインタビューに応じてくれた金曜日夕方、マニラの“丸の内”みたいなオルテガス界隈はひどい混雑。予測していたもののやっぱり交通渋滞にはさまれ、そのうえ待ち合わせ場所のスタバがみつかりません。道を聞くたびに、こっちだ、あの角の次だ、と親切に教えてくれるのだが、どうも、みんな言うことが違うみたい。知らないといってくれたほうが時間をロスしないのに、ブツブツブツ・・・
20 分遅れでやっと到着したわたしを見て、「大丈夫、 7 時を少し過ぎても」、とマーラ・ガリンさん (35 歳 ) は明るく、笑顔で待っていてくれました。

仕事はインテル社のシニア・コミュニケーション・スペシャリスト。つまり、あのインテルの社員研修、マーケティング、コミュニケーション部門のプログラム・コンサルティングです。といっても具体的に何をしているのでしょうか。

マーラさんのとてもソフトで誠実な応対は仕事柄だけでなく、自分のライフスタイルと働き方への自信からでてきたようです。

 

この仕事について 4 年半。ユー・ピー ( 国立フィリピン大学 ) ではジャーナリズムを専攻し、大変厳しい就職状況を乗り越え、雑誌社からトップ企業の国内最大のビール会社、サンミゲル社へ。 4 年ののち、さらにステップアップをめざして今の仕事に就きました。

パーティに同行する彼は学生時代以来のパートナー。コンピューター編集の仕事をしています。法的な結婚はせずに、ずっと一緒に暮らしています。「結婚?その必要を感じなくて・・・」と単純明快な理由です。が、カソリック信者が 85 %を占めるこの国ではまだまだ少数派といっていいでしょう。

1 日の仕事時間は平均 10 〜 14 時間。管理職待遇ですから超勤手当ては付きません。長時間勤務になるのは、彼女の仕事のグローバリゼーションにあります。まず上司は米国・アリゾナ州に。研修対象になるインテル社員はアジアのみならず、ラテンアメリカ、中東のイスラム圏へと広がります。勤務日数は週 5 日。収入は月、 28,000 ペソ。ほかに毎月ガソリン代 7,000 ペソ、昼食代 880 ペソは別途支給されますが、仕事の質、量からみると満足できる額ではありません。それに最近の生活用品はじめ諸物価の値上がりをみると、給料も上がってほしいところです。
彼女の収入に頼るのは、故郷にいる両親。妹はすでに独立しています。
いまの仕事に満足している点は、学ぶ機会が多いことです。異文化コミュニケーションの進め方など、今後役に立つ経験です。一方で仕事があまりにも多すぎてどのようにマネジメントをしていくか、悩むところです。

マーラさんの仕事をもう少し、詳細にみていきましょう。
担当するコミュニケーション関連のプログラムとは、たとえばマネジメントとリーダーシップ育成、キャリア・マネジメント、仕事と私生活の両立、メンターやコーチングなどのプログラムです。
たとえば、メンターのプログラムでは、職場での体験を素材にして、社員同士が指導側のメンターとアドバイスを受けるメンティーになり、ロールプレイを行います。
さらに、このプログラムを社内に普及するために、「 3 ヶ月コミュニケーション計画」を作成し、広報をするとともに社員が自己の進捗状況をチェックして評価できるようなウェブサイトを作ります。ウェブ上でメンターの成功事例などを紹介し、自主的にウェブをチェックする習慣の必要性なども強くうったえました。教材としてビデオが必要な場合は、その脚本、出演者のキャスティングなども本社のアリゾナと調整しながら進めていきます。特にアジアの社員やタレントを出演させる場合は、全面的にマーラさんにまかされます。
コミュニケーションを促進するためのさまざまな業務を計画、実施、チェックのサイクルでクリエイティブに実施していくのが主な仕事、といっていいでしょう。

また、各国にいるインテル材料 ( マテリアル ) 部門社員約 3,500 人に向けたオンライン・ニュースの編集担当や社内の各専門技術担当者と共同して各業務向上に必要なプロジェクトを形成していくのも大事な仕事です。
とても仕事がうまくいった例として、彼女は昨年、インテル社のポール・オテリア社長が来比した際のことを話してくれました。まず、社長のスピーチ原稿を 2 本も書くという光栄な役目を果たしました。さらに、記念式典の運営も担当しました。後日、社長は彼女の作成したスピーチや式典での念の入った丁寧なもてなしに大変感激をして、直接お礼を述べたそうです。
大役を無事に果たして、この仕事をしていて本当によかった、と実感したマーラさん。「日経ウーマン」に登場するような、外資系企業でしっかり仕事をするキャリアウーマンといった感じです。

職場は、マニラから南へ約 1 時間、カビテ州にある経済特区の中です。しかし、週末などは友人とパーティに行ったり、映画やショッピングを楽しむためには、やはりオルテガスのあたりまで出向いてリフレッシュをします。住まいは職場から車で 1 時間ほどの郊外、マニラの住人たちがあこがれる環境良好の地・タガイタイに彼と住み、家にいるときはガーデニングを楽しんでいます。
もし、子どもができたら、子どもには好きなことができるような条件をそろえてあげればいいと考えています。転職または退職したら、小さな本屋さんを開いてみたい−カフェもあって、きれいな花に囲まれたお店です。きっといろいろな国の絵本などを揃えるのだろうな、とわたしは勝手に想像してみました。それがとても似合いそうな雰囲気がありました。

 


 
 
 
 

 
オルテガスの摩天楼 
この辺一帯はマンダルヨン。マニラの中心マカティの北東にあたり、 90 年代後半に再開発が進み、メガの付く巨大ショッピングモール、外資系企業、証券取引所、国際機関などが集まっています。しゃれたレストラン、ブティックなどもありちょっとお金のある若い人たちには人気のスポット。

 

 

昨年 11 月に開通した軽量高架鉄道 (LRT)2 号線。
これが近い将来のマニラの公共交通でしょう。快適さは日本のものとまったく 変わりません。駅舎はマンゴーの黄色とウベ ( ムラサキイモ ) の紫色を基調にしたモダンなつくり。車内はこれまでの鉄道、 LRT1 号線や首都圏鉄道 (MRT) よりも車幅が 40 センチも広く 3 メートルに。座席がベンチ式で布カバーがないので少々硬いのが難だが。その座席の座り方は他の電車も同様で、ちょっとした隙間をねらって座ろうとする人たち。腰や太ももがぴったりと隣の乗客と接していてもお互いにあまり気にならないらしい。それはまったくジプニー式の乗り方だそうです。でも、運賃はジプニーと比べると倍以上になりますから、庶民の足となるのはまだ先のようです。      

 

 

発信:おおつかともこ

文・写真も)

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