マニラE通信12号

 5月19日

 

仕事〜高校生に聞きました。

来年に卒業を控えた 5 人の高校生にずばり、聞きました――
どんな仕事がしたい、給料はどれくらいほしい? 
どんなふうにお金を使う? 
好きなことを仕事にできる? 
給料かやりがいかのどちらを選ぶ? 
これまで現役のフィリピン人への仕事インタビューをしてきましたが、今回は未来の働き手、十代の若者に仕事への夢を聞いてみたのですが・・・

ラブリ セル ヘルナンド  15 歳 

大学を出て看護士になりたい。 1 日 8 時間で週 5 日働く。収入は月に5万ペソほしい。 そして貯金などをしてきちんと貯めておくの。もちろん家族のために使う。母は 3 ヶ月前からレバノンで家政婦として働いている。 3 年契約だからしばらく我慢しなくては。父はいない。看護士になったらカリフォルニアかアラスカへ行きたい、親戚がいるので。仕事はもちろんやりがいというよりか、収入が大事だわ。
自分の子どもができたら、本人の意思に任せるが、やりたいことをサポートしてあげたい。でも、やはり看護士か会計士のような仕事に就いたらいいと思う。

 

ジェイスン オーストリア  16

希望としては高校を出てすぐ働きたい、どんな仕事でもいい、自分ができることで、自分にプラスになるものなら。そして、大学にも通いたい。でもそのような仕事はずっと続けるつもりはなく、本当になりたいのは心理学者なんだ。
自分のことで悩む人が多いので、役に立ちたい。 1 日 8 時間週 6 日は働いてもいい。仕事は収入よりやりがいで選びたい。だから、いくら収入がほしいかもあまり関心が無い。もちろん収入があったら、自分だけでなくほかの人のためにも使いたい。8 人きょうだいの 6 番目、父はいない。

自分の子どもできたら、人のためになるような仕事をさせたい。自分の親も僕がやりたいことをサポートしてくれたから、あまり干渉したくないな。

 

ジャスミン・サントス  16

高校卒業したら看護士養成の大学へ、そして看護士になりたい。これは一生の仕事としたい。 1 日 8 時間、週6日くらい働いてもいい。その代わり、収入は月 4 万ペソはほしい。
おばさんがオーストラリアにいるので、海外に出るとしたらそこかな。収入の使い途は、もちろん家族や親戚のためになるように。無駄な使い方はしない。たとえば、ケータイの電話料にお金をかけるなんて、いいと思わない。仕事の満足度は意義・やりがいより収入で得られると思う。
自分の子どもができたら、そうね、ビジネスをしてほしい。たとえばオイル関係っていうの、そうガソリンスタンドの経営とか。お金になる仕事だと思う。
親からは長く働き続ける、安定した仕事を選ぶよういわれている。学校に通わせてもらっているのだから、その期待には応えなくてはならないわ。

 

ジェイス アン ゲワラ  17 歳 

大学を出たら、有名企業で電子関係の技術者になりたい。大きな会社なら安定して長く働けるから。 1 日 8 時間、週5日で月収は 2 万ペソかな。稼いだお金は、両親、きょうだい、親戚そして自分のために使いたい。父はドライバー、母は農業関係の公務員。仕事は収入で満足できると思う。
自分の子どもができたら、本人の意思にまかせる。
両親はわたしが大会社で働くことを望んでいる。

 

ホセ マリ リンタグ  17

大学を卒業したら、面白そうでそんなにハードでない仕事がいいな。家族も応援してくれるような仕事、たとえば・・・ インターネット・カフェを経営するとか。
1 日 8 時間週 5 日働く。収入は 1 万ペソ。貯金をしてためておくが、もちろん家族や親戚のためにも使う。 4 人きょうだいの長男、父は国防省勤務。仕事はやりがいより収入を選ぶ。
自分の子どもができたら、本人がやりたい仕事をさせる。
両親は僕がビジネスに向いていると思って、起業を勧めているんだ。

 

 

 

 

このあと、追加質問で、みんなの成績、自宅での勉強時間、お小遣いの額を教えてもらいました。 5 人とも成績はほぼトップクラス、放課後 2,3 時間は勉強するらしいです。お小遣い 1 日は 60 〜 80 ペソで使い途は、ジプニーなどの交通費とランチやおやつ代。正確にはお小遣いといえるのかどうか。生活費です。
日本について知っていることは、ハイテクで、暮らしが豊かで、教育水準も高いこと。よく働き、経済発展に喜んで貢献していることなどをあげていました。
フィリピンの高校(ハイスクール)は、 4 年制。小学校が 6 年制で次が高校になります。高校くらいになると家庭の事情や本人の都合で、休学したり留年するなどして同学年でも、多少の年齢差があるようです。それでも高校までの中等教育に参加できるのは全体の半数以下。そして高校に卒業まで在学できるのはその約半数にしかなりません。
今回インタビューに協力してくれた高校生は、マニラから 2 時間ほどのバタアンにある公立高校の 4 年生。ちょうどフィリピンでは夏休み期ですが、学校のある時期はみな制服を着用しています。その費用が地域にもよりますが、上下で 1 着約 400 ペソ、教材費など学校へ払う費用が年間 200 〜 400 ペソ。それにお小遣い。子どもの数は平均 3.5 人でその年齢が近いのがふつうですから、庶民の家計にはかなりの負担になります。それでもわが子にかける教育費は、たとえ親の食べるものを減らしてでも、というほどの勢いで惜しむことはありません。海外労働の人たちの送金目的の第 1 位も学資資金です。そのような生活環境がしっかり定着しているのでしょうか。子どもたちはなんのためらいも無く、働いて稼げるようになったら、親、きょうだい、親戚の面倒をみるといいます。

フィリピンの映画界を代表するといわれるマーク・メイリ監督があるインタビューで語っていました。フィリピン人のユニークさは次の 2 点にある。まず、アジアの中で最大のカソリック国であること、そしてアジアの中でもっともアメリカナイズされた国であること。彼の近作のテーマにもなっているようです。
そこで、もうひとつ加えさせてもらえるなら、
大家族の相互扶助というものを考えてみました。だが、これはフィリピンのユニークさに留まらず、もっと広範にアジア諸国ではみられることなのかもしれませんが。高校生たちはすでに今から、収入の使途を明確にしていました。

*10ペソ=約20円

 

 

発信:おおつかともこ

文・写真も)