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マニラE通信17号

 10月10日

 

 

今回は海中デビュー体験記です。

やっと念願のダイビングのできる C カード(認定証)を取得、海中デビューをしてきました。ダイビングの楽園といわれるここフィリピン、地元の人はなかなか手軽にできるスポーツではないようですが、“外国人組”にはこの国でやってみたいことのトップになっています。特に、最近は韓国の人たちにかなり人気があるのか、ビーチでハングル語が聞かれるのも珍しくありません。
さて、わたしの場合、いまから初めて大丈夫かな、と一抹の不安があったので、さっそく
ダイビングスクールにメールで問い合わせると、ご心配なく、 80 歳の方も楽しんでいます、という返事。まさか初体験がその年齢ではないでしょうが、それでも勇気付けられてビーチに向かいました。
まずは学科から。モジュール5まである分厚い教科書を波の音を聞きながら読み進んでいくと、今までの自分の知識や守備範囲とはまた違った世界へ誘われる感じで、身体を水の中に潜らせるためにはさまざまなスキルが必要なことが、そのあとのビデオによる学習と合わせて納得、これは奥が深いスポーツなのだとどきどきしてきました。しかし、実技に入るや、なかなか教科書通りにいくはずがなく、どうしよう、できない・・・の連続。

たとえば、水中で一定の深度を保つ「中性浮力をとる」ことを指導されるのだが、身体は上下したり、半回転したりでちっとも落ち着かない。水中マスクの脱着・マスクなし呼吸は受講者がみな嫌い、苦手、という練習のひとつだが、確かにこれも大難題。潜水中の呼吸は口からだけしかできないが、マスクをはずすとどうしても鼻から吸ってしまいがちで、これで大慌て。水面に飛び出したくなります。やっぱりできないわ・・・と、不安になって質問すれば、鼻から吸ってはだめです、とインストラクター。そういったって、それができなくて。

通常、 3 日間通して学科・実習を修了するようなのだが、わたしの場合、週末 2日間と翌週末 1 日をあてて、この新しい技に挑戦しました。その3日間、スクール側の配慮か、はたまた心配からかわたしにはフィリピン人と日本人の二人のインストラクターがずっと付いていて、過保護な訓練を受けました。そのかいあってか、 3 回目の潜りでは、マスクをはずした呼吸も前ほど焦らずにできるようになり、浮力の感じも少しつかめるようになってきました。

なんちゃってダイバーの誕生です。




遅まきながらダイバーに挑戦してみたが。
 

4 本目の潜りでは、水深 18 mの水中ツアーへ。エントリーはボートからです。 20 キロ近い機材一式を身にまとい、ボートのへりに腰をかけてそこから後ろ向きに水面に入っていきます。どきどきしたのはわたし、はらはらしたのはインストラクターだったでしょう。
フィリピンのダイビングは“殿様ダイビング”というのだそうです。料金は格安で、重い機材の運搬や水中に入るときも、出てくるときもボートスタッフが手を貸してくれて、親切でよく働いてくれます。至れり尽くせり。でも、給料はそんなに多くはないのだろう、扶養家族は何人いるのか、海辺の生活は・・・などなど、今回はあまり考えている余裕はなく、そして、インストラクターに文字通り、手とり足とりと誘導されながら潜っていくとそこはもう海中の別世界。初体験者を感動させる美しい魚の群れとサンゴ礁が待っていました。
といっても、始めはゆっくり鑑賞できるほどの状態ではありませんでした。身体への負担の少ない安全な潜水をするために、習いたてのスキルを次々に使わなくてはなりません。やることがいっぱいあるのです。忙しい。新米がんばれ、とわが身を励ますわたし。

それでも少しずつ慣れてくると、魚の姿を追うことができるようになりました。見上げれば、頭の上で小さな銀色の魚が群れています。そして、魚と目線が同じに。大きな岩を周回していくと、その先にはあまり光の届かない、ちょっとぞっとするような色の濃い海が下方に広がっていました。
見上げれば水面から差し込む日光が無数の浮遊物のように水の中でゆらゆらと映えています。 インストラクターに何度も OK サイン。大丈夫、うまくいっている。とても素晴らしいの合図です。 距離感、ものの大きさ、音の伝わり方など地上で体験しないことばかり。自分の呼吸だけが大きく響き、そして水中に放たれる息がぷくぷくと泡になって上昇していきます。ちゃんと呼吸ができている証し。ここでは“呼吸のように意識しない”という地上とはまったく正反対。呼吸がすべて。吸った、吐いた、は口からだけ。こんなに意識して呼吸をするなんて。
30 分ほどの潜りからボートに戻ってきたときには、目の前に迫るヤシの木に覆われた山の姿、色合いがとてもくっきり鮮やかに見えました。

やりました、ダイビング。海に向かって V サイン。

 


アニラオの海―マニラから 2 時間半、日帰りにも最適でダイビング・ポイントも多い。
 

 

発信:おおつかともこ

文・写真も)

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