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マニラE通信25号

 10月29日

 

10月には…

10月29日(日)
乳がん防止月間にちなんで、友人のエルビラさん(マニラ乳がん協会理事)が日本にいたときに出会った吉岡しげ美さんをマニラに迎えて、チャリティコンサートを開催した。吉岡さんは日本の女性詩人の詩に作曲をしてピアノの弾き語りをする。たとえば金子みすずの「淡雪」や「私と小鳥と鈴」、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」、茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」。かつて暗誦したのに、もう忘れかけていた詩が吉岡さんの張りのある美しい声にのって、マニラの会場に響いた。

 

もうひとつ、チャリティコンサート。こちらは庄野真代さん。「国境なき楽団」の活動としてマニラコンサートは2回目。あの「飛んでイスタンブール」も、もちろん歌った。28年前のヒット曲だそうだ。共演したゴスペル歌手のHAL(はる)さんも豊かな声量でジャズなどを楽しく聞かせた。ノリのいいフィリピンの人にはぴったりだった。

さらに、こちらの英字新聞INQUIRER紙によると、あのナカタが、ゴミ山のあるパヤタスのB地区を訪ねて、子どもにサッカーボールをプレゼントしたと、1面記事で紹介していた。サッカー選手時代には見ることがなかった新しい発見の旅の、アジアでは最初に、しかもフィリピンではもっとも貧しい象徴でもあるゴミ山へ。訪問は国連機関であるUNDP地域事務所などの企画でもあったようだ。(わたしもNGOを通じてパヤタス地区の2人の子どもに奨学金の提供を続けているが、なかなか抜本的な対策がたてられていないのが現状だ。)

最後に、国際交流基金マニラ事務所主催の演劇、「ヤジ&キタ」。原作はしりあがりことぶきさんの「真夜中の弥次さん喜多さん」で、手塚治虫漫画賞受賞作品だ。これは見事な演技とシナリオで、何度も観客をだまし、爆笑させ、大喝采。生と死、現実と虚構、現在と過去、の二項相反するものの間を大急ぎで行ったり、来たりして観客を混乱させながら、やがてすべてが、ヤジとキタの2人さえも一体となるような“おち”がつくのだ。

日本人の活躍を目にする機会の多かった10月だった。

この写真、一見、箱根・仙石原といいたいところだが、これはマニラ郊外のモンテンルパの丘に広がるススキの原っぱ。秋という季節はここにはないのだが、雨季も終わりに近づき、空気が乾き始めると、やや涼しい感じがして、ふと秋を想う。でも気温は30℃前後で、外気に触れると、あっというまに季節への感傷は熱気にとけてしまった。
この丘にあるモンテンルパ刑務所は、来年には移転するらしい。かつて、日本人戦犯が収監、処刑された地でもあり、記念碑や墓地もある。今では2万人近い囚人で手狭になったため、さらに郊外へと移転する計画だ。跡地はマニラから近いこともあり、商業や住宅地区、政府機関の施設などに予定されている。

 

 

発信:おおつかともこ

文・写真も)

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