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業務完了報告

 

「ナイジェリア連邦共和国:女性の生活向上のための女性センター活性化支援プロジェクトフェーズ2」

1.プロジェクトの背景と目的
ナイジェリアの女性の貧困は深刻である。人口の約半数となる8000万人の女性たちにとっては、極めて一部の富裕層の女性たちを別として、識字・教育、就労の機会、健康維持、社会参加そして家庭内の処遇も含めて、困難な状況が続いている。
また、多様な民族や伝統慣習、宗教などが女性に及ぼす影響も見逃すことはできない。

特に、地方に広がる貧困や昨今の治安の悪化、社会不安の増大は、国の経済発展の大きな阻害要因になっているだけに、男女を問わず、貧困の削減は喫緊の課題となっている。
本プロジェクトは、このような状況にあるナイジェリアにおいて、全国の自治体に80年代、次々と設置され、現在は政治体制の変化などにより、多くが放置のまま、荒廃している施設、全国に約700ヶ所もある女性センターの再活性化である。

JICA技術協力プロジェクトはこのような女性センター再活性化のモデルを提示し、行政担当者の人材育成を進めながら、女性センター活性化支援を通して、女性とその世帯の貧困削減とエンパワーメント向上をはかり、次世代を担う子どもたちやコミュニティにも好影響を及ぼそうとするプロジェクトである。

 


首都アブジャの街並。後方にかすむ岩山は街のシンボル、アソロック


ワークショップでの議論はいつも白熱。
大きな声が必要だ。

 

2.活動内容
チーフアドバイザー/ジェンダーと開発専門家として、プロジェクトを統括し、カウンターパートであるナイジェリア国立女性センターのプロジェクトメンバーと定期的に協議し、次のような活動を実施した。
  レ活性化モデルの機能、普及をはかった。
  レ自立発展性の観点から女性センター担当職員はじめ管轄行政機
   関の担当部署、関連部署の人材育成のための研修を実施した。
  レ基礎調査、モニタリング調査を実施した。
  レジェンダーと開発の観点から、ジェンダーによる格差を是正して
   いくための「エンパワーメント5側面」の向上という考え方を活
   用し、経済的、身体的、社会的、心理的、政治的に女性が力を引
   き出せるような取り組みと、夫、父親など男性に向けても参加の 
   機会作りを行った。


3.現状と問題点
基礎調査の結果から見ると、コミュニティにおける他機関の行政サービスでは、農業、教育、福祉などの分野で女性対象のプログラムがそれぞれ実施されている。このような情報をさらに収集し、女性センターでは利用者のニーズに応じて、英語や算数のコースを開催したくてもインストラクターがいない場合などに教育省から応援を頼む。また同様に食品加工などは農業省、起業であれば商工関連機関など、各機関との連携によるコースの開設も可能になるが、まだ、十分に理解と協力を得られていない。
    
ジェンダー課題としては、特に、女性に対する暴力(DV)を、夫や父など
による暴力、と理解している女性たちは多かったが、男女とも自分が当
事者となるような意識はなく、暴力が身近にあるものとの認識はみられ
なかった。
また、調査の統計上はわずかな数値ではあったが、女性センター利用者
の中には、離婚、死別、別居、未婚などの"シングル世帯"もあるため、カウンセリング機能等を高めて個別に対応しながらの支援が必要である。

女性たちは、「人生を自分で変えられる。」という希望をもっており、「女
性センターなどに行き、技術を習得して自分で収入の途を開きたい」との回答もみられた。だが、夫が外出を許可しない、家事などで時間がないなど、自ら決定できる機会が少なく、社会参加や経済活動への期待だけが大きかった。


4.教訓と提言
識字教室や技術訓練、起業やコーポラティブの情報提供、カウンセリングなどさまざまなサービスが1施設内で受けられるような場としての女性センターが、交通アクセスが限られている地域の女性たちには、特に必要である。通常の行政サービスでは教育、保険、農業など分野ごとに縦割りになりがちなところを、女性センターを介して、女性が総合的な支援を受ける機会を得られ場として、センターのポテンシャルは高い。

さらに、女性センターは「学び」と「エンパワーメント」の場として、技術訓練や啓発だけにとどまらず、提供するサービスの充実をはかり、識字やスキルの習得が女性のエンパワーメントの向上を促す。エンパワーメントの向上によって女性は学びのモチベーションを高めながら、自分を肯定し、効果的な学びの促進を期待できるのである。

大塚朋子

   (JICA技術協力プロジェクト専門家業務完了報告書から一部を抜粋)

 


州女性省などの職員。衣装はいつも華やか。

技術訓練を受けて、制作したアクセサリーなど。

女性センターは地域の大事な社会資源。

CPと打ち合わせをする筆者(右)